3/6フィレンツェ4 通ったよ!ヴァザーリの回廊!
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フィレンツェ8泊の4日目。フィレンツェでは、グダグダと、その日に行きたい場所に行くのが我々の流儀なのだが、今日だけは、予定がしっかり決まっている。
というのも、本日は、ヴァザーリの回廊への入場予約をしてある日なのであるっ!
「ヴァザーリの回廊」とは、ウッフィツィ美術館から、ヴェッキオ橋の上を通り、アルノ川の向こう側のピッティ宮へと続いていく回廊のことである。

この画像で「コレ」と指してあるのが、ヴァザーリの回廊。
メディチ家のコジモ1世がフィレンツェに君臨していた際、今ウッフィツィ美術館になっている建物は、政務をとる場所、つまり仕事場で、ピッティ宮は、生活の場、つまり自宅だったそうだ。仕事場と自宅を移動する際に、外に出なくても済むように、仕事場と自宅を回廊でつないでしまったのだ。かー!金持ちは考えることが違うねえ!まあ、外に出ない方が、外敵から身も守れるしね。コジモ1世のお気に入りである芸術家のヴァザーリが設計したので、「ヴァザーリの回廊」と呼ぶのだそうだ。
このヴァザーリの回廊だが、通常は観光客に開放していない。だが、旅行会社が、おそらくまとまった人数での入場許可をもらい、ツアーを催行している場合がある(→
そして今回、またフィレンツェ行きが決まってから、何気なくヴァザーリの回廊情報をググっていると、なななんと、ヴァザーリの回廊を期間限定で、一般予約公開しているという情報を見つけた(→フィレンツェ美術館予約の公式サイト。期間限定だったため2012年5月現在は一般公開していません)!わざわざ旅行会社に申し込まなくても、個人で予約すれば、予約料込みで、わずか10.5ユーロで、ヴァザーリの回廊を通れるというではないか!しかも、この10.5ユーロには、ウッフィツィ美術館の入場料も含まれると言う。…ウッフィツィ美術館の入場料も含まれる、だと…?
チョット待ッタ。ウッフィツィ美術館の入場料は、予約した場合は予約料込みで10.5ユーロなので、10.5ユーロでウッフィツィ美術館とヴァザーリの回廊どちらも鑑賞できるということは、事実上、ヴァザーリの回廊はタダで見せてもらえるってことにならないか!?タ…タダでヴァザーリの回廊っ!?これは、何が何でも予約せねばならないっ!というわけで、公式サイトの電話番号に、電話攻撃っ!!!
…してみたのだが、電話の自動アナウンスが、早口で何言ってるかわからないっ…。オウっ…数年前にミラノの最後の晩餐を電話予約したので、私の語学力って結構イケてる!?と自信を持ってしまったのだが、華麗なる思い違いだったようだ…。ずずーんと落ち込んでいる私を見ながら、語学力というものに関するプライドを一切持たない姉は、「じゃ、宿泊するレジデンスに頼んでみようよ」とあっけらかーんと言い放った。で、レジデンスのオーナーに、ヴァザーリの回廊の一般予約をお願いしてみると、あっさりと予約を取ってくれた…。
というわけで、本日の11時30分に、ヴァザーリの回廊を予約っ!ヴァザーリの回廊鑑賞は、1回につき25人までで、ウッフィツィ美術館からガイドさんつきで始まり、川向うのピッティ宮で解散となる。そのため、ウッフィツィ美術館の鑑賞は、ヴァザーリの回廊鑑賞より先に終わらせておかなければならない。で、ウッフィツィ美術館は9時に予約を取った。2時間半あれば、私も姉も母もウッフィツィ美術館は2回目なので、じゅうぶんゆっくり鑑賞できるだろう。
9時10分前くらいにウッフィツィ美術館に行くと、予約していない人たちの行列は、すでに長蛇となっていた。逆に、予約の方は行列もなく、スイスイと進んでいた。ちなみに予約している場合は、入口とは反対側の3番窓口でチケットを受け取ってから、入口に行かなければならないので、注意が必要。予約チケットを受け取るには、予約番号が必要なので、控えてくるのをお忘れなく!(実は我々は、忘れそうになって、ちょっとヒヤッとしたのだよ)
さーて。3年ぶりのウッフィツィ美術館っ!3年前に入場した時は、わけもわからず、ボッティチェリやレオナルド・ダ・ヴィンチなど、著名人の作品に、「うわー」「うわー」と言いながら鑑賞したのだが、あれから時を経て、いろいろ本なども読み、少しだけルネサンス美術について片足を突っ込んだ、自称中級者の私。「ま、館内では私が絵の説明をしてあげるよ」と、頼まれてもいないのに、偉そうに母に言い放つ、ちょっと痛い自称中級者の私。3年前には、ラファエロの「ひわの聖母」と「自画像」が、他の展覧会に出張していて不在だったので、今回ぜひ見たいのは、この2作品である。
いやあー3年ぶりだが、こうしてルネサンス美術(自称)中級者になってみると、3年前には目につかなかった作品が、どんどん私の目を惹きつけるよ!シモーネ・マルティーニの「受胎告知」なんか、3年前は「マリアの目、細すぎてかわいくない」とかしか思わなかったが、こうして改めて見てみると、衣服の流れや身体の線が優雅で、ほえーと見とれてしまう。ピエロ・デッラ・フランチェスカの「ウルビーノ公夫妻の肖像」も、3年前は「何か夫婦の横顔」くらいにしか思わなかったのだが、今回鑑賞すると、背景の描き方の美しさにすっかり魅了されてしまった。
3年前と比べて、異様に私の心を惹きつけたのは、ボッティチェリの作品群。ウッフィツィ美術館の代名詞のような絵である、ボッティチェリの「春」と「ヴィーナスの誕生」がある部屋には、他にも数多くのボッティチェリ作品が展示されていて、さながら「ボッティチェリの間」と呼べそうな部屋である。
3年前はギリシャ神話が題材である「春」と「ヴィーナスの誕生」ばかりに惹きつけられたのだが、今回改めて鑑賞してみると、ボッティチェリのキリスト教作品も、いい。いい、と言うより、何だかよく分からないが、胸締め付けられる気分になるのだ。ルネサンス三大巨匠と呼ばれる、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロの作品と比べて、ボッティチェリの作品は、感傷的で平面的であり、理性的で写実的なルネサンス期の芸術的流行に逆行している、と言われることがあるが、確かにそうかもしれない。だが、逆に、その微妙に現実的ではない筆遣いに、妙に胸が締め付けられてしまい、私はボッティチェリ作品の前から動けなくなってしまった。
特に、この部屋に展示されている、ボッティチェリの「受胎告知」は、異様に心に迫りくるものがあった。マリアに処女懐胎を告げる大天使ガブリエルは、まるでたった今、窓から飛び込んてきたみたいに躍動感があり、そのお告げを受けとるマリアが、驚きで体をのけぞらせる姿が、優美である。…と、同時に、何だかこの絵を見ていると、だんだん切ない気分になってくるのである。いったい何でだろう…。「受胎告知」は、決して暗いテーマではないし、鑑賞者にマリアの凛とした覚悟を伝えるようなタイプの絵が多いというのに。
というか、この絵に限らず、ボッティチェリの絵を見ていると、決して暗いテーマを描いているわけではないのに、妙に切なさに酔いしれたくなるような気分にさせられる。この妙な気分について、理屈で説明するのはとても難しい。理屈じゃないってことは、これはもはや恋である。というわけで、私はこのウッフィツィ美術館にて、完全にボッティチェリ作品に恋する人間となってしまった。恋は盲目。ってなわけで、この後、私は行く町ごとに、ボッティチェリ作品を所蔵しているという美術館情報をゲットすると、必ず押しかける、という、ボッティチェリ追っかけ野郎と化したのだ。
さて、このボッティチェリの間の次の部屋には、今度はレオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」がある。ボッティチェリと同時代を生き、しかもおなじ師・ヴェロッキオに師事していたレオナルドだが、彼が残した手記の中に、ボッティチェリの「受胎告知」を酷評したのではないか、と言われる一節が書かれている。「大天使ガブリエルがマリアを部屋から追い出そうとしているみたいに動きが荒々しい」とか、「受胎告知を受けたにしてはマリアの表情が絶望してるみたいに見える」とか批判している。レオナルドの言うことも確かに一理はある。私がボッティチェリの「受胎告知」を見て切ない気分になる、と書いたが、鑑賞者をそんな気分にさせる「受胎告知」は、キリスト教信者から見ると、受け入れがたいものなのかもしれない。
だが、二人の、「受胎告知」を続けて鑑賞してみると、私はボッティチェリの「受胎告知」の方が断然好みであった。だって、レオナルドの「受胎告知」は、確かに繊細に描かれていて絵の上手さはわかるのだが、大天使ガブリエルもマリアも無表情で、上手、という以外に何の感想も抱けないのだ。このウッフィツィ美術館所蔵の、レオナルドの「受胎告知」は、レオナルドが描いたものではないのでは?という説もあるのだが、むしろ、その説が本当なんじゃないか、と思うほど、私には微妙に感じられる作品なのである。ただし、もちろんこういうのは好みの問題。母も姉も、このレオナルドの「受胎告知」は好きだと言っていた。
…とか何とか、自称ルネサンス中級者にもなると、うんちくを垂れながら鑑賞するようになるので、ウッフィツィ美術館鑑賞は、予想以上に時間がかかってしまった。ちょっと急ごうか、てな雰囲気になり、3人とも、ミケランジェロの「聖家族」の絵は、ほぼ素通り。だって、マリアがキン肉マンなんだもんなー。
で、3年前には鑑賞できなかったラファエロの「ひわの聖母」と「自画像」のある部屋に行くと、今度はちゃんと置いてあった。ヨカッタ〜。「ひわの聖母」、背景もほんわりしていて、やさしい雰囲気でよいー!何だか不安な気分にさせられるボッティチェリ作品に比べて、実に穏やかで安定している。ラファエロの絵の安心感てのは、特筆すべきものがある。ちなみに3年前は、「ひわって何?」状態だったのだが、今は「ひわ」が何だかわかるよ!イエスがなでなでしている鳥が「ひわ」って鳥なんだね!目が血のように赤いから、イエスの受難を予兆する鳥として、描かれているんだね、えっへん!(←痛い中級者)
この「ひわの聖母」の安心感もよいのだけど、自画像もいいー!ていうか、ラファエロかわいいよ!こんな顔してたんだね!かわいいね!ルネサンス期の画家で、自画像を描いている画家さんは多いが、ラファエロの自画像はとびぬけてかわいい。ラファエロ一人勝ちである。リッピはくどくどしてそうな感じのおっさんだし、ボッティチェリは何かねちっとしてるし、ミケランジェロに至っては、もう少しだけでいいから自分を美化しなよ…て感じの顔である。ある意味ルネサンス期の画家さんは、自分に対しても正直なのかもしれないねえ。
というわけで、この後は急ぎ足でカラバッジョを見に行き(カラバッジョ作品は、何だかすごく離れた所に展示されているのだ)、カラヴァッジョのメドゥーサとにらめっこしてきたら、もうあっという間に11時半になってしまった。いやー、うんちくを言いながら鑑賞すると、ウッフィツィ美術館は実に時間がかかることがわかった。11時くらいには鑑賞をやめて、30分くらいカフェで休憩するつもりだったのに。次に来るときは(また来る気満々)、一日中ウッフィツィ美術館にこもりたいよ!あっ、そういえば、今回はウッチェッロの「サン・ロマーノの戦い」が修復中のためか見当たらなかったなあ。遠近法オタク・ウッちゃんの絵も、次回はじっくり見ないとね。
さて、11時半からはお待ちかねのヴァザーリの回廊っ!
ヴァザーリの回廊は、ミケランジェロの「聖家族」の絵がある25室の入り口近くに、回廊へと続く扉があるため、25室前あたりに集合である。一回につき25人の入場なのだが、事前に予約チェックなどはなかった。…どうするんだろうなあ…と思っていると、11時半になり、ヴァザーリの回廊へと続く扉が開けられた。予約している人々は、扉を開けたガイドさんに続けて入って行き、間違ってその流れに乗って扉の中に入っていく人は、係員に制止されて、ぽいっと出されている。
…どうやって区別してるんだろう?と謎に思ったが、案の定、我々3人も中に入ろうとしたら何だか力ずくっぽく止められた。ちょっとムッとして、「11時半に予約してるんですが?」とイタリア語で告げると、確認してくれて、「オッケー、オッケー」と中に入れてくれた。イタリア語のガイドしかないので、イタリア人以外は予約客じゃない、と勝手に判断して外に出していたのだろうか。このへんは、イタリアらしく本当にいいかげんであった。係り員が予約を確認した紙も、くしゃくしゃのA4の紙に、姉のファーストネームが書かれて、その横に3人を表す「3」という数字が書かれてあっただけだったし…。
ともあれ、念願のヴァザーリの回廊っ!…イタリア語のみのガイドだが、我々3人は、ただただメディチ家気分を味わいたいだけなので、ガイドなんか全然わからなくても、ノープロブレムっ!まあ、それでも、リスニング練習と思って、頑張って私は耳を傾けてみましたよ。しかも、こういう時私は見栄を張るタイプなので、わかってるフリもしてみましたよ!まあ、実際は何言ってるかよくわからなかったわけですが、ヴァザーリの回廊について予習はしておいたので、話している内容を推測することはできた。予習ってスバラシイ。
ガイドは若いイタリア人女性で、よくしゃべるガイドさんだった。完全にこの集団の中で浮いている我々日本人3人以外は、ほとんど年配のイタリア人で、ご夫婦での参加が多かった。男性陣はガイドに熱心に聞き入り、ちょっと自分歴史に詳しいぜ的なおじさんとかが、ガイドさんに質問したり、ガイドさんの説明を訂正したりしていた。女性陣であるおばさま方は、ガイドさんの長い説明から、一人、また一人と脱落していった。おじさま達がガイドを取り巻き、おばさま達はガイドさんを無視して、窓の外の風景を眺める、そんな感じ。私は日本人3人ともガイドさん無視するのはヤバイと思ったのでおじさまグループに属し、母と姉はおばさまグループに属した。
ヴァザーリの回廊は、しっかり修復しているのか、中は案外新しく、キレイだった。なぜかヴェネツィア派の画家の自画像がたくさんあって、ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼあたりの自画像があった。また、この回廊を作ったヴァザーリ自身の自画像も、ヴェッキオ橋の上に差し掛かるあたりに展示してあった。それにしても、ガイドさんの説明が速くて速くて、説明が終わったらサクっと次に進んでしまうので、ここらへんの自画像は、ヴァザーリ以外はじっくり鑑賞できなかった。まあ、パッと見、全員おじさんの肖像画で、誰が誰だかわからなかったが…。
このへんの絵や、回廊内部は写真撮影禁止なのだが、窓からの風景は撮影していい、とのことだったので、ヴァザーリの回廊から見える風景の写真をドウゾ〜。

ヴェッキオ橋の上に今いるんだぞっ!と実感できる景色。ここらはちょうど橋の真ん中あたりで、ヴェッキオ橋の真ん中あたりにある、有名な宝石屋さんが見える。橋の上にいる人たちが、ヴァザーリの回廊を見上げて、「えっ?何で人がいるの?」的な顔をしていた。…いやあ、優越感いっぱいの気分になりましたよ。思わずメディチ家気分。


回廊から見える、ヴェッキオ橋のお隣のサンタ・トリニタ橋。

ヴァザーリの回廊には、こういう丸い形の窓もある。こういう窓は「コジモの目」とか呼ばれる窓だそうで、コジモ1世は、この窓から、フィレンツェ市民を監視していたとか、ちょっと前に見たNHKの番組で言っていた。

その「コジモの目」から見下ろした、ヴェッキオ橋の宝石店。
橋を渡り終わった後で、回廊が途中で建物をうねっと迂回している部分があり、これは、建物の持ち主が、メディチ家にその建物を譲渡してくれなかったため、迂回して回廊を通すしかなかった部分らしい。へー。これもNHKの番組で何か言ってたなあ。
「うねっ」の後は、このヴァザーリの回廊一番の見どころであろう、サンタ・フェリチタ教会のバルコニーへとつながる部分に出た。ここは、メディチ家の人々が、外出せずに教会礼拝ができるように、この回廊と教会のバルコニー部分をつなげたのだそうだ。ほう。それはグッドアイディアだね。
で、この教会につながる部分だが、もっともっと重要なものがあった!教会のバルコニーと接続しているのは、進行方向から見て回廊の左側の壁なのだが、右側の壁には、歴代のメディチ家の人々の肖像画が展示されているのである。そう、そこには、私と姉のフィレンツェのアイドル・ジュリアーノの肖像画もあった!
思った以上に小さい、手のひらくらいのサイズの絵なのだが、かっ、カッコいい…。教会を説明するためにここでガイドさんが立ち止まってくれたので、私も姉も、教会そっちのけで、許される限りジュリアーノと向き合った。ブロンズィーノ作の絵なのだが、うつむき加減の表情といい、高貴な鼻の形といい、ジュリアーノ、本当に素敵…!ちゃんと、仲良しのロレンツォお兄ちゃんと、横に飾られているのもよいっ!いやー、実は、ヴァザーリの回廊を歩きたかった理由の一つが、このジュリアーノの肖像画が、ヴァザーリの回廊にあるらしい、という未確認の情報をゲットしていたからなのだ。いやー、ヴァザーリの回廊に悔いなしっ!
ヴァザーリの回廊は、なぜか最後にシャガールの絵があって、終了。フィレンツェで思わずシャガール。
で、ドアが開けられて、外に出ると、そこはボーボリ庭園であった。なるほどー。ゴール地点はボーボリ庭園なのね。実は結構歩いたんだなあー。所要1時間半くらいのツアーであった。

これがヴァザーリの回廊の出口。すぐ近くには、ブオンタレンティのグロッタ(人口洞窟)があった。
ガイドのおねえさんに、「ありがとうございました」と挨拶して、ヴァザーリの回廊ツアーは無事終了。母いわく、「ガイドのおねえさん、あんたがちゃんとイタリア語わかってると思ってたみたいだったよ」。私の演技力ってスバラシイ。イタリア語がしっかりわかってるフリをする私も私だが、その演技が通じているかどうかチェックしている母も母である。
さて、ボーボリ庭園の中に出たってことは、…このまま、ボーボリ庭園も鑑賞できちゃうってことですね?ボーボリ庭園って入場料が7ユーロくらいいるはずなんだが…。10.5ユーロで、ウッフィツィ美術館も、ヴァザーリの回廊も、ボーボリ庭園も入場できちゃうなんて、本当にイタリアっていいかげん…。長くなってきたので、この後のボーボリ庭園以降の旅行記は、また次回ってことで。
ちなみに、ヴァザーリの回廊は、ボーボリ庭園で終了なので、ウッフィツィ美術館でおみやげを買いたい人は、ヴァザーリの回廊に入る前に、買い物を済ませておく必要があるので、注意が必要である。我々はそれを忘れていて、また2日後に、おみやげを買うためだけにウッフィツィ美術館に入館したのである。でも、その日は、女性無料デーだったので、痛くもかゆくもなかったのですよ♪詳しくは、3/8の旅行記でね!
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3/5アレッツォ2 ヴァザーリさん、お邪魔します
| <本日のイタリア旅行記メニュー> フィレンツェからアレッツォに遠足 ●ヴァザーリの家 ●サン・ドメニコ教会 ●ドゥオーモ ●ピエーヴェ・ディ・サンタ・マリア教会 |
さてっ!アレッツォ遠足の後半戦っ!
前半戦の、サン・フランチェスコ教会と、カフェで、不当に、異様に、時間を費やしてしまった我々に、残された時間はスクナイ。その限られた時間の中で、この風情たっぷりの坂の町を、歩き倒すぞっ!
とりあえず、アレッツォに来たからには、ヴァサーリん家に押しかけるのが筋ってもんだろう。
ヴァザーリとは。フィレンツェのメディチ家の、コジモ1世のお気に入りだった芸術家である。絵も彫刻も建築もできるし、文筆家でもある。ルネサンスの次のマニエリスム期の芸術家なのだが、その多才ぶりは、むしろルネサンス期に理想とされた、万能人に近い。特に、フィレンツェのヴェッキオ橋の上に作られた「ヴァザーリの回廊」は有名だ。また、彼が執筆した「ルネサンス芸術家列伝」は、(日本語でも読めます→芸術家列伝1 ─ ジョット、マザッチョほか (白水Uブックス1122))、現代でも、ルネサンス期の芸術家のエピソードを語る際には、よく引用される本だ。この本、私も読んでみたが、非常におもしろかった。ヴァザーリさん、なかなか文才もあるのだ。
そのヴァザーリは、アレッツォの出身なのだが、彼が住んだ家が、ここアレッツォに残っているらしい。しかも、ヴァザーリ、この家の建築は自分で手がけ、内装のフレスコ画も自分で描いたものなのだそうだ!いやー、これは興味あるよ!独立独歩の極みっ(ちょっと違う)!てなわけで、ヴァザーリんち目指して、ドカドカ歩いた(これは、我々の歩き方が品が無いのではなく、単に時間がないから、美しさよりも速さを優先して歩いたためですよ)。
ヴァザーリの家に向かう途中で、ドゥオーモを過ぎたあたりの右手に、何だか雰囲気の良い、城壁と門が見えた。…ええと、時間がないから今はスルーして、後で時間があったら行くよっ!待っててくれ、城壁くんっ!
ドカドカさくさく歩いて、中心街の端あたりにある、ヴァザーリの家にようやく到着。

これがヴァザーリんちなのだが…ええと、扉はカギが閉まり、固く閉ざされているよ。でも、右の方に開館時間が書かれているのだけど、火曜が閉館で、それ以外の平日は8時半から19時まで開いてるって書いてるよ。この日は月曜だし、今は開いてる時間帯じゃんよ。何でドアが閉まってるの?
とりあえずドアの左に呼び鈴があったから、押してみた。よー、ヴァザーリ、中に入れてくれよ。すると、カチャっと音がして、カギが開いた。ええーっ!?何気なく呼び鈴を押してみただけなんだけど、本当にココは、呼び鈴を押して中に入れてもらう形式だったのか!ま、ある意味確かに、呼び鈴を押す方が、「ヴァザーリんちに遊びに来た気分」は味わえますな。
ドアを開けて、階段を上ると、明らかにヒマそうな女性が「チャオー」と待っていた。おそらく、このヴァザーリの家の現在の所有者で、観光客に開放していない部分に住んでいるのだろう。それで、観光客が来たら、カチャッとカギを開けて、切符を売って中に入れる。…うわー!何だか理想的な生活だね!いいなー!私も先祖の誰かが著名な芸術家だったら、こんな優雅な生活ができたのか!まっ、私の体内に著名な芸術家の血が流れていたら、こんなにぐうたらな人間にはなってないのでしょうけど!
私が少しイタリア語がわかることを知ると、オーナーの女性は、スサマジク速いイタリア語でまくし立て始めた。今まで聞いたイタリア語で、史上最速であった。だが、人にものを伝える才能があるのか、言葉そのものは何を言っているかサッパリわからなかったが、内容は何となく通じた!庭もあるから、忘れないで鑑賞してほしいが、庭には猫がいるから、館内に入らないように、ドアをしっかり閉めてほしいとのこと。
庭には猫っ!?猫好きの我々姉妹は、まず庭に行った。ヴァザーリの家の内部は写真撮影禁止なので、撮影できるのはこのお庭だけ。

後ろの方に映っている建物が、ヴァザーリんちでございます。
庭には、猫特有の猫のトイレの匂いが充満していたので、猫がいることは間違いあるまい。あんまり我々には時間がないのだけれども、どうしても猫を発見したくて、庭をウロウロ。ヴァザーリさんのお家で、この人たち何やってんだか。

執念実って、ついにちょっと遠目ではあるが、猫発見ーーー!!!ありがとう、猫くんっ!これで、心置きなく館内の方へ戻れるよ!
で、館内に戻り、ヴァザーリのお家をじっくり鑑賞した。…な、なかなか素敵なお家ですな、ヴァザーリさんっ!
特に気に入ったのが、「名声と芸術の部屋(Camera della Fame e delle Arti)」と呼ばれる部屋に描かれた、4つの芸術の寓意像。それぞれ、絵画、彫刻、建築、詩作を表す、4人のかわいらしい女の子が、部屋の四面にそれぞれ描かれている。これは、カワイイっ!特に「絵画」を表す、キャンパスにデッサン中の女の子と、「詩作」を表す、薄紫の衣装を着てノートを広げている女の子がかわいらしいっ!パワフルな彫刻作成中の女の子も味があってよいし、知的そうにコンパスを持つ「建築」の女の子も、みんなみんなカワイイっ!
これ、このままアニメにできますよ。明るいかわいい女の子って感じの「絵画」が主役、その親友に大人しそうで色っぽい「詩作」、パワフルでボーイッシュな「彫刻」に、知的ポジションの「建築」でカンペキじゃないんですか?何言ってんでしょうね、私。とにかく、この4つの絵は、セットで見ると、本当に素敵であった。写真が撮れないのが残念すぎる。オーナーの女性に、「絵はがきとして売ってませんか?」と聞いてみたが、作っていないそうだ。残念。おのれの目に焼き付けろ!
この部屋には、ヴァザーリ自身の自画像や、ミケランジェロの肖像画も描いてあった。先述の「ルネサンス芸術家列伝」を読めばわかるのだが、ヴァザーリはミケランジェロ大好きなので、そんな下知識を持って鑑賞すると、なかなかおもしろい。
この「名声と芸術の部屋」以外の部屋も、素敵なフレスコ画満載であった。ヴァザーリの絵は、フィレンツェのヴェッキオ宮や、ウッフィツィ美術館で鑑賞した時は、あまり印象に残らなかったのだが、この自分の家を飾っているフレスコ画は、なかなか雰囲気の良い絵が多かった。ヴァザーリさんは、誰かに注文されて、決められた題材を描くよりも、自由に自分の好きなものを描いたほうが、ずっと力を発揮できるタイプなのかもしれないなあ。この「ヴァザーリの家」を訪問したことによって、画家としてのヴァザーリへの見方が、私の中ではずいぶん変化した。
というわけで、予想していたよりずっとおもしろかった「ヴァザーリの家」っ!どうも長々とお邪魔しました〜。アレッツォに行く方には、ぜひおすすめしたいスポットである。
さあてっ!時間もないことだし、またドカドカ歩くぞっ!来た道を戻って、駅まで戻るまでの間に、いろんな教会や風景を拾って行こうっ!
「ヴァザーリの家」から、ドゥオーモ方面に戻る途中に、サン・ドメニコ教会がある。

こちらがサン・ドメニコ教会。鐘楼がかわいらしい。
時間もあまりないので、この教会はスルーしようか、とも迷ったのだが、「ちょっとだけ、ちょっとだけよ!」と、我々は自分たちに言い聞かせながら、教会にチャッと入った。若き日のチマブーエ作の「キリストの磔刑図」が有名な教会なのだが、このキリスト像は、よくある感じの中世画っぽくてイマイチであった。ただ、教会の内部の暗くて静かな雰囲気は、なかなか美しいものがあった。時間があったらゆっくりしたい教会であったが、残念ながら、「また来るからっ!」と言い残して、去ることになった。
「また来る」…この言葉が出始めると、私も姉も、だいぶその町を気に入った証拠である。そう、アレッツォ、気に入っちまったよ!傾斜の広場グランデ広場を始めとして、まず坂道の多い街並みそのものが美しい。アレッツォは、私に坂の美しさを教えてくれた町となった。私が実家の鹿児島で住んでいた家も、坂道にある家なんだけどなあ。メーテルリンクの「青い鳥」は、確か、幸せの青い鳥を探す旅に出るが、実はその青い鳥は家で飼っていた小鳥だった、というオチじゃなかったっけ(うろ覚え)。今度実家に帰った時は、実家前の坂道を見つめ直してみるべきだろうか。
で、サン・ドメニコ教会を飛び出して、我々が向かったのは、サン・ドメニコ教会とドゥオーモを結ぶ道の途中で見えた、城壁と門っ!ヴァザーリの家に向かう途中で、「あっ!何か面白そうな場所があるっ!」と、脳内ブックマークしておいた場所だ。

それは、この門っ!
門の向こうに、下りの坂道がどんどん続き、その下には、トスカーナ特有のやさしい丘陵地帯の風景が広がっているっ!何て気持ちのいい眺めっ!トスカーナとウンブリア地方の、丘の上にある町からの、こういう眺めは本当に最高である。
この門から、中心街へと上るためにエスカレーターが設置してある。「地球の歩き方」の地図にも載っていないエスカレーターだ。


このエスカレーター、左側の絵に注目である。この何だか無表情な兵隊さんたちの絵は、実は、サン・フランチェスコ教会の、ピエロ・デッラ・フランチェスカのフレスコ画「聖十字架の伝説」の一部である、コンスタンティヌス帝の凱旋を模写したものなのである!この無味乾燥な感じが、ピエロ・デッラ・フランチェスカの絵の特徴をよくとらえていて面白い。それにしても、ちょっとどアップすぎる絵だろ!私と姉は、このエスカレーターが大いに気に入って、いっぱい写真を撮っていると、地元のアレッツォ人に変な目で見られた。「日本人から見ると、エスカレーターってそんなに珍しいのかしら…」みたいな。ぶっちゃけ、日本には、イタリアの50倍くらいの数のエスカレーターがあるように思いますけどね(イタリアではエスカレーターのある建物は珍しい)。
ちなみに、このエスカレーターは、地図に載っていないはずで、帰国してから調べると、2011年の秋ごろにできた、新しいものらしい。イタリアン・ニュー・テクノロジーなわけですな。我々のアレッツォ訪問に間に合って、ヨカッタヨカッタ!
さてっ!次行くよ、次っ!次はドゥオオオオーモっ!(←アレッツォが素敵な町すぎて、かなりハイテンションになっている我々)

こちらがドゥオーモ。

内部はゴシック式で美しい。

ゴシック教会と言えばステンドグラス。後陣のステンドグラスが、天気が良いこともあって、キラキラと輝いていて、荘厳な雰囲気を醸し出していた。
で、このドゥオーモの目玉は、ピエロ・デッラ・フランチェスカの描いた「マグダラのマリア」のフレスコ画である。だが、どこにも見当たらないぜっ!「マグダラのマリア」の絵は、金髪長髪の美人さんであることが多く、私は結構好きなモチーフなので、ぜひ見たいんだけどなあ。
時間もあまりないので、売店のおばあちゃんに聞いてみると、「あなたがマグダラを見たいならば、次に来た時に見なければならない」と言う。「今は工事中で見られない」とのこと。ドゥオーモの左側の方が工事中だが、その中にあるわけですな。それにしてもおばあちゃん、「次に来た時に」って、日本人観光客で、アレッツォを再訪する人は、結構少ないと思うぜ…。でも、この時には、我々はアレッツォ再訪する気満々だったため、「オッケー!」とおばあちゃんに明るく返事した。マグダラは次回、次回っ!
さて。アレッツォで、何が何でも訪問せねばならない教会は、あと一つっ!グランデ広場近くの、ピエーヴェ・ディ・サンタ・マリア教会っ!
この教会は、風変わりな外観をしている。

グランデ広場の反対側に正面を向けているが、こちら側が正面。三層に分かれていて、それぞれ絶妙な間隔で柱が並べられている。ピサ・ロマネスク様式だそうだが、ピサの大聖堂とは、柱がずらっと並んでいることは共通しているけれども、雰囲気は全然違う。こちらの教会の方が、ずっと素朴である。
正面入り口の上の方に掘られた、「各月の象徴」の彫り物は、実に実にかわいらしい。

上左から10月、11月、12月。下は左から3月、2月、1月。

こちらは上が左から7月、8月、9月。下が左から(おそらく)6月、5月、4月。
はっきりとはわからないが、おそらく年間を通じての農作業を表しているのではなかろうか。1年中、まじめに働こうね!というメッセージかと思われる。あまり私の心には響かないメッセージだが、像そのものはロマネスク特有の素朴さ・稚拙さが何ともかわいらしい。
ロマネスク教会の楽しみ方は、何といっても、「わけのわからないモノ」を探すところにある。西洋美術は、ルネサンス期から劇的に洗練化していくのだが、その前時期に当たるロマネスク美術は、ルネサンス期には失われた野蛮さ・奇抜さがあり、それにハマると、何ともかわいくて仕方がなくなってしまう魅力がある。このピエーヴェ・ディ・サンタ・マリア教会は、内部・外部ともに素朴なロマネスク様式で、可愛いヤツらがたくさんいた。その中の何人かを紹介したい。
まずコイツ。

やあ、こんにちは。…ええと、君は何だろうか。サル…ではないよな。だいぶ意味不明。
それからこの人。

手を犬(?)に噛まれてますぜ…。でも、全然痛そうじゃないし…。むしろ噛まれてるんじゃなくて、歯科診療でもしてるんですかね?
そして、コレ…。

もはや、なぜこのようなものが教会にあるのかは、観光客には意味不明。コレがロマネスク期じゃなくて、もっともっと昔の古代遺跡の中に発見されたら、「古代、地球には宇宙人がいた!」とか言われそうなシロモノだと思う…。
いやー、ピエーヴェ・ディ・サンタ・マリア教会、楽しいっ!楽しんいんだけど、そろそろ帰りの電車が迫って来たぜ!我々は、最後に、駅近くのローマ円形劇場跡に行くか、もう少し町歩きを楽しむか迷ったが、ローマ劇場は次回来た時に行こう、ということになり、町並みを楽しむことになった。
アレッツォの坂道やくねくねした曲り道は、本当に美しい。映画の「ライフ・イズ・ビューティフル」のロケ地になったのだそうだが、映画を撮りたくなる気持ちがよくわかる。


2枚目の写真、向こうに見えているとんがり屋根は、ドゥオーモの屋根である。
私は、もうこの坂道と、ピエロ・デッラ・フランチェスカの傑作や、ヴァザーリの家、素敵な教会などなどでお腹いっぱいなのだが、アレッツォが姉を惹きつけた理由は、もう一つあったようだ。それは、アンティーク屋さんが多いこと。
姉は、「何でも鑑定団」という、ファンの平均年齢が高い番組が大好きで、毎週欠かさず見ている(私には、イマイチわからない世界)。そんなこともあって、アンティーク屋さんが大好きなのだそうだ。幸いなことに(姉にとっては不幸なことに)、セレブでないため、お宝を買う資金はないので、お宝を買い集めるまでには至っていないが。「何でも鑑定団」が好きな人種にとっては、買う気がなくても、アンティーク屋さんを見るだけで幸せな気分になるんだそうだ。へえー。
アレッツォでは、有名なアンティーク市も開かれることがあるらしく、姉は、「次回来るときは、絶対アンティーク市の時に来よう!」と鼻息を荒くしていた。へー。もし同行することになったら、姉がアンティーク市に貼りついている間に、私はどっかの教会で遊んでよっと。

アレッツォの街角で見かけたアンティーク屋さんの一つ。中では職人さんが、何やら作業をして、いい感じだった。
というわけで、鈍足の我々にしては珍しく、ドカドカと忙しく歩き回ったアレッツォ。急ぎ歩きになってしまったのは、アレッツォが、想定していたよりずっと見どころが多い町だった、という嬉しい誤算があったからである。気に入った町には、何回でも行くよ!その時は、ぜひ、ドゥオーモの「マグダラのマリア」を見せてくださいましね!

バイバイ、アレッツォ。またね!
イタリア旅行は楽し♪トップページへ3/5アレッツォ1 危機一髪!聖十字架の伝説!!!
| <本日のイタリア旅行記メニュー> ●サン・フランチェスコ教会 ●グランデ広場 |
本日は、私と姉は、フィレンツェからアレッツォという町へ遠足に行くことにした。
母は、というと、サン・マルコ美術館に一人で行き、その後は、レジデンスで半日休息を取ることになった。
サン・マルコ美術館は、レジデンスからすぐ近くなのだが、母がちゃんと切符を買えるかどうか心配だったので(ま、母の名誉のために言っておくと、買えるんですけどね!念のため!)、私と姉は、母をサン・マルコ美術館に押し込んでから出発した。時間短縮のため、電車内でお昼を食べることにして、サン・マルコ広場の「Pugi」という有名なパン屋さんで、ピザを買ってから、駅へ向かった。
フィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅の切符売り場に行くと、ESを購入する窓口(赤)と、その他の切符を購入する窓口(緑)に並ぶ場所が分かれていた。各駅停車で行くので、緑の方に並んで購入。掲示板を見ると、乗るべき電車は、そもそも終点がアレッツォだった。終点で降りればよろしいのね。いいじい。
乗り込んだ各駅停車は、各駅停車ということを差し引いても、だいぶのろい電車だった。しかも、なぜか電車内では「ぽっぽっぽっ」という意味不明な音が鳴っていて、窓の外からは「ギリギリギリ」という、この電車油差してないだろ!的な音が聞こえてくる。ぽっぽっぽっ、ギリギリギリが鳴り響く中、ピザを食べようと取り出したら、となりの席に座っていたおばあちゃんから、「Buon appetito(=おいしく召し上がれ)!」とだいぶ大きな声で急に言われて、ビクっとした。この車両は、おばあちゃんと我々くらいしか乗っていなくて、おばあちゃんはさみしかったらしい。ぽっぽっぽっ、ギリギリギリ…。
アレッツォは終点だから、乗り過ごす心配もないなーと思っていると、気もたるみ、食後の眠気も加わって、ななななんと、我々は、そのまま二人とも居眠りをしてしまった!お前らっ!電車の中で居眠りだなんて、イタリア旅行ではゼッタイにタブーですよっ(置き引きなどが多いため)!それで、「次はアレッツォですよ〜」というアナウンスでハッと目が覚めたため、1時間半の電車旅だったのだが、あっという間に着いてしまった。それにしても、居眠りしたことを反省せよっ!

アレッツォ駅到着〜。
我々がアレッツォに、何しに来たのか、というと。2年前、アッシジのサン・フランチェスコ聖堂で、ジョットによる「サン・フランチェスコの生涯」という連作のフレスコ画を見た時、「悪魔に襲われるアレッツォの町」という絵があったのである。
それで、アレッツォって何だべ?と調べてみると、「地球の歩き方 フィレンツェとトスカーナ」で、アレッツォに残る、ピエロ・デッラ・フランチェスカ作の、「聖十字架の伝説」というフレスコ画が絶賛されていたのである。「地球の歩き方」は、結構硬派なガイドブックなのだが、この「聖十字架の伝説」のプッシュぶりはすごかった。おそらく、実際見に行った方が書いた紹介文なのだろう。ここはひとつ、だまされたつもりでアレッツォに行ってみるべ!と、姉と出向くことになったのである。おそらく、我々のように、「地球の歩き方 フィレンツェとトスカーナ」を読んで、アレッツォに行く方は多いのではなかろうか。
アレッツォは、駅から中心街までが近いし、まっすぐな道でわかりやすい。駅前から伸びる、G.モナコ通りという大通りをそのまままっすぐ行けばよい。
途中、左手の方に、何ともかわいらしい郵便局があった。

かわいらしい子供たちが、封筒のマークを持っている。今までイタリアで見た郵便局の中で、一番かわいいぞっ!
さて、まず一番最初に訪問するのは、アレッツォで最も有名な観光場所である、先述の「聖十字架の伝説」のフレスコ画が残る、サン・フランチェスコ教会。G.モナコ通りを途中で右折して、Via Madonna del Pratoという通りの入り口から入った。切符売り場がすぐにあって、予約料金込みで8ユーロ。本当は、要予約で、一度に25人ずつしか入場できないのだが、我々は3月前半の閑散期に行ったため、その場ですぐ入れてもらえた。ただ、それでも予約料は取られるよ!予約してないのに予約料って何だよ!とツッコみたかったけど、ツッコまなかったよ!度胸と語学スキルがないからだね!
切符売り場をまっすぐ進み、階段を上って、教会の中に入った。正面奥に、例の「聖十字架の伝説」がある…のだが、遠目すぎる!遠いうえに、デカイ中世っぽい絵柄の十字架像が真ん前に下げられていて、その十字架像に遮られて、奥の絵が見にくい!うぉ〜!結構良さそうな絵なのに、何でこんなに遠くからしか見せてもらえないんだ!?もう少し近づこうとすると、ロープが張ってあるし!この距離からの鑑賞で8ユーロは、高いよ、アレッツォ!
8ユーロの元を取らねば、と、あっちやこっちから絵を見る努力をしている我々。我々の後からも、若い女の子二人と、ご年配の夫婦がチケットを持ってやって来たが、皆、残念そうに、遠くから鑑賞し、残念そうに去って行った。左の方にはガラス張りの事務所みたいなものがあり、そこでは係員さんらしきおじさんとおばさんが、白熱した議論を交わしている(もしかしたらタダの興奮しているだけのおしゃべり)。せめてロープ外してくれないかな〜と、熱い視線を送ってみたが、こちらに気付きもしない。
8ユーロの元を取りたい我々は、20分くらい粘ったが、どの角度から見ても、それほどしっかりは見えなかったので、ようやく諦めて帰ろうとした。その時、教会のドアがカチャッと開いて、ツアー客っぽい団体が入ってきた。やはり、絵の近くまでは行けず、ガイドさんが遠目から絵の解説をしている。
…その時、姉がふと言った。「あの人たち、何であのドアから入ってきたの?あのドアの向こうは外だったよね?つまり、切符売り場通ってないじゃん。タダで入ってきてるよ」。…言われてみれば!我々や、先ほどのチケットを持った女の子組や夫婦は、切符売り場から通じる通路を通って、この教会内に来たのだ。どう考えても、このツアー団体は、外から直接、無料で教会に入って来ている。………記憶を掘り返してみると、そう言えば、「聖十字架の伝説のフレスコ画は、無料でも遠目でなら見ることができる」とか、何かのサイトで読んだ気もする。まさか………。
…左手の方にある、ガラス張りの事務所のドアを、チケットを見せながらノックしてみた。そう、おじさんとおばさんのトークがたけなわになっている、あのガラス張りの事務所である。すると、おばさんが手に機械を持って出てきて、おじさんがおもむろにロープを外した。おばさんが、チケットのバーコードをピコッと読み込んで…。
………だーっ!この人たち、本当は、ロープの前に待機して、チケット持っている人を、フレスコ画の近くまで入れる係だったのね!事務所にひきこもっておしゃべりばっかりしているから、観光客はわけもわからないだよ!………我々の後から来た、女の子たちと、ご夫婦は、チケット買ってたのに中に入らなかったぜ…。8ユーロ…。ツッコむべき言葉も見つからないぜ…。ちなみに8ユーロって結構高いですよ。ウッフィツィ美術館が6.5ユーロですからね…。おうっ…一歩間違えば、我々も、あの女の子たちやご夫婦と、同じ運命だったのだ…。恐ろしや。
つーわけで、ようやく対面しましたよ、ピエロ・デッラ・フランチェスカの傑作、「聖十字架の伝説」っ!あー、貸し切り、貸し切りっ!間近でゆっくり堪能することができた。特に気に入った絵は、コンスタンティヌス帝の夢に、「旗に十字架つけちゃいなよ!」というお告げを持って天使が飛び込んてくる絵。天使が、コンスタンティヌス帝の寝所に飛び込んでくる角度が良い。スヤスヤ寝ているコンスタンティヌス帝が意外とカワイイし、見張りに起きている男たちが何だかヒマそうな表情も良い。
それから、物語の盛り上がりシーンである、シヴァの女王がソロモン王を訪問する絵も素敵である。ピエロさんが描く、女性の後ろ姿ってのが何とも魅力的である。すらっとしたうなじや、流れるような衣服の描き方が、しなやかで素敵である。正面から美人な顔の女性を描くわけではないのだけれど、後ろ姿ながらも静かに美しさが伝わってくる。「地球の歩き方」に書いてある通り、確かに、ずっと眺めていると、じわじわ良さが伝わってくるような絵である。他にも柱部分に描かれた、目隠しをしたキューピッドの絵もかわいらしかった。
この絵を鑑賞するには、「聖十字架の伝説」のストーリーを知っておいた方が楽しめると思うが、切符売り場でも、英語でストーリーを詳しく説明したパンフレットをもらえるので、英語がわかる方は、パンフレットを見ながら楽しむことができる。いやー、それにしても間近で見れて良かったよ(もう、本当に…)!
サン・フランチェスコ教会は内部撮影禁止なので、教会の外観の写真をドウゾ。

教会の北側の、カブール通りからのショット。無料ゾーンだけであれば、こちらの通りに面した入口から、教会の中に入れます。
あーーー、何だか腹減ったよ!ドッと疲れるようなことがあると、甘いもの食べたくなるのは人間のサガね。というわけで、イタリア通りという、何だか嘘くさい名前の通りに面している、老舗っぽいカフェで、甘いお菓子とコーヒーを一服。

ていうか、こういう話って、聞くだけでもドッと疲れませんか?我々が食したおやつでも見て、一服してくださいませ。

入ったのは、こちらカフェでございます。おそらく「Pasticceria Stefano S.R.L.」という名前のお店。とても美味しかったし、バールのおじ様(おやじではない)もやさしかった!
ただし、トイレを借りたのだが、私は電気のつけ方がわからなくて、だいぶ時間がかかってしまった。姉は、私が具合が悪くなったのかとカナリ心配したらしい。サン・フランチェスコ教会で、絵のまわりでウロウロしたり、ここのトイレでオロオロしたり、と、アレッツォ遠足、ここまでかーなーりのタイムロスをしてるぞっ!!!
というわけで、ココからは、効率的に回ろうぜ!まずは、斜めっている広場として、ひそかに有名なグランデ広場に突撃ーーー!
突撃してみたら、えっ!?何か、いい感じっ!?


このように、広場そのものが、ゆるやかな傾斜になっているのである。えーっ!何かイイっ!傾斜ってスバラシイ!何がイイんだかよくわからないんだけど、とにかくイイよ!「坂」に感動したのは、これが生まれて初めてであった。今まで、シエナのカンポ広場とか、ヴェネツィアのサン・マルコ広場とか、「イタリアで最も美しい広場」と、自信満々に自称する広場も見てきたけど、私は、今まで見た広場の中で、このアレッツォのグランデ広場が一番気に入った!

傾斜の高くなっている方の、西側には、こんな素敵なお屋敷が面している。後で調べると、「フラテルニタ・ディ・ライチのパラッツォ」というお屋敷だそうだ。名前長っ!

広場の東側には、風情たっぷりのお家が立ち並ぶ。

広場北側は、ここアレッツォの出身である、ヴァザーリが設計した「ロッジアの宮殿」が面している。特にこの回廊部分は美しい。

傾斜の下部分の方には、こんな風情たっぷりの井戸も、ちょこんと鎮座していた。かわら付きの屋根がついていて、パッと見、妙に東洋チックでもある。この井戸の奥の方に映っているお店も、この井戸と同じかわら屋根がついているのがわかるだろうか。このへんは、何だか、奈良県の法隆寺付近の街並みを思い出して、不思議な気分になった。かわら屋根って、イタリアにもあるのねえ。かわら屋根の研究とか一瞬だけしたくなりましたよ(一瞬だけって言ってますからね)。
てなわけで、スバラシイ傾斜の広場・グランデ広場を見て、一気にテンションが跳ね上がった、我々姉妹!グランデ広場だけでなく、アレッツォは坂の多い町なのだが、その坂が!妙に風情のある坂が多いっ!

…何、この坂道…!タダの坂道のくせに、こんなに私の心を揺さぶるんじゃないよっ!
アレッツォ散歩はこの後もまだまだ続くのだが、何せ内容が濃すぎるゆえ、だいぶここまで長くなってしまったので、続きは次回っ!
イタリア旅行は楽し♪トップページへ3/4フィレンツェ3 朝から晩までフォルツァ・ヴィオラ!
| <本日のイタリア旅行記メニュー> ●スタディオ・アルテミオ・フランキでセリエA観戦 フィオレンティーナVsチェゼーナ |
本日の午後は、スタディオ・アルテミオ・フランキにて、サッカー観戦。
フィレンツェで、フィオレンティーナの試合を観戦に行くのは、もうこれで、4年連続6回目である。私と姉がフィオレンティーナのファンというのもあるが、フィレンツェでのサッカー観戦が、他のイタリアの町の比べてやりやすい、という理由もある。
この旅行記ではよく書いていることだが、フィオレンティーナのホームスタジアムである、スタディオ・アルテミオ・フランキは、中心街からバス15分くらいのところにあり、イタリアでは比較的、中心街から行きやすい距離である。
また、チケット入手も簡単だ。前売り券が、中心街の中央郵便局近くの「Chiosco degli Sportivi」というお店で簡単に購入できるし、当日券も、スタジアム近くのチケット売り場で買える。ちなみに、良い席から前売り券で売れて行ってしまうため、良席を希望するなら、前売り券を購入することをおすすめする。
というわけで、我々は既に前売り券は購入済みだし、気楽にGOっ!試合の日は52番バスが臨時でスタジアムへと向かう。駅が始発だが、中心街のサン・マルコ広場からでも乗れるので、サン・マルコ広場から乗車した。
スタジアム前に到着すると、珍しく、スタジアム近くの切符売り場に行列ができていた!何でー!?本日の相手は、チェゼーナ。チェゼーナと言えば、順位表の一番下あたりで、セリエBへの降格争いをしているチーム。ちなみに今年のフィオレンティーナと言えば、順位表の、真ん中より下のあたりで、「降格争い」をするチームになるかどうかを争っているチーム。
首位争いをしている、ユヴェントスやミランとの差を、わかりやすく図で書くと、
●←ユヴェントス
●←ミラン
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
●←フィオレンティーナ
・
――――― 降格ライン―――――
●←チェゼーナ
まっ、こんな感じですかねっ!
何でこんなことになってしまったのだろう…(棒読み)。フィオレンティーナは、つい2年前は、チャンピオンズリーグ決勝トーナメントにまで進出し、「誤審さえなければバイエルン・ミュンヘンに勝てたのかもしれないのにさあ!」とか、強気な発言まで出来る存在だったというのに…。今となっては、バイエルン・ミュンヘンだなんて、呼び捨てにできないくらい、トホイトホイ存在ですよ。バイエルンさんですよ。
こんなことになってしまった原因は、実は明らかで、前監督の、プランデッリがいなくなってしまったからなのである。プランデッリ退任後は、プランデッリ・チルドレンと呼ばれる、プランデッリ監督ラブの選手たちが次々とフィオレンティーナを退団していき(ムトゥ、ジラルディーノetc…)、まだフィオレンティーナに残留している残りのチルドレンも、退団のチャンスをうかがっている様子(モントリーヴォとか)。
えっと、話が脱線しまくってますが!つまり、本日のカードはフィオレンティーナVsチェゼーナという、極めて下位攻防戦なのである。それなのに、当日券売り場が行列になっていたので、私はビックリしてしまいました、という話に戻るワケですね。
まあ、これも、よくよく考えれば、ナゼ行列なのかは、すぐわかるんですよ。というのも、この下位攻防戦、チケットが不当に安いっ!我々は、バックスタンドの席を購入したのだが、ななななんと、ひとりあたま14ユーロっ!バックスタンドって、メインスタンドの次に高い席なのだが、14ユーロっ!これがどれだけ安いか、というのは、同じバックスタンドの席が、バイエルン・ミュンヘンとのCLは70ユーロ、昨年観戦したセリエAのローマ戦は60ユーロだったことと比べて頂きたい。…ローマ戦と比べても、半額どころか、7割引き以下っ!?…こんだけ安ければね、天気もいいし、スタジアムにでも行くか、って人たちが行列を作るわけですね…。
何だか、フィオレンティーナは、チームの弱体化とともに、スタジアムの劣化が比例するように進んでいて、昔はあんなにきっちりしていたパスポートチェックが、かなりいいかげんになっていた。トイレのカギもかからなくなってしまったし、何だか悲しくなってくるよ。諸行無常の響きあり、だね…。
さて、そんなだけれども、入場料が安いおかげで、スタジアムは結構満席っ!

フィエーゾレ側の、熱きヴィオラサポーターも、スタンバイっ!対するチェゼーナ側のサポーターは、ほとんど来ていなかった。チェゼーナって、そこそこフィレンツェに近いけどねえ。そもそものサポーターの数が少ないのかもねえ(適当)。

試合前の挨拶。
フィオレンティーナファンの私と姉はともかく、母はフィオレンティーナの選手をほとんど知らない。ジラルディーノくらいは知っていたのだが(2006年W杯優勝メンバーのため)、そのジラも冬季移籍でいなくなってしまった。そんな母がなんでスタジアムに来たかと言うと、「何でもいいから、セリエAの試合を見たいのよ。あんたたちの好きなフィオ何とかでもいいから」。さいですか。では、そんな母のために、フィオ何とかの重要選手を何人か教えておきましょう。
「ええとね、まず、キャプテンが5番のガンベリーニ。昔はイタリアをしょって立つディフェンダーだったんだけどね、ケガが多くてね。実は顔は隠れイケメンだよ」。…ガンベリーニが隠れイケメンなのは本当のことなのだが、残念ながら、今はヒゲヅラになってしまい、何だかもっさりしていて暗く見える。母のタイプじゃないだろうな、と思ったが、思った通り、母は無反応。

ヒゲヅラになってしまったガンベリーニ…。じゅ、受刑者みたいに見えてしまうから、ヒゲそっておくれ…。
しょうがない。メッシが好き、という、結構わかりやすい母のために、わかりやすい選手をまずは紹介することにした。「あの8番が、ヨヴェティッチと言って、今フィオレンティーナで一番注目を浴びている選手だよ。若くて、テクニックがあって、将来はサッカー界をしょって立つかもしれない逸材と言われいているよ」。…ヨヴェティッチは、昨年までは髪の毛をくるくるパーマのミディアムにしていて可愛かったのだが、今年はそこら辺の床屋で切ったみたいな、ただの天然パーマのちょっと昔風の大学生、みたいな感じに切ってしまった。昨年までの髪型であれば、かわいい若い選手大好きな母に、もう少し気に入られたのだろうが。
それでも母は、「ふうん、8番はまあまあうまいね」と、興味を持って見ていたのだが、何と、前半の前半のうちに、ケガでひっこんでしまった!ええーっ!?ヨヴェティッチがいなくなったら、フィオレンティーナの見どころの半分はなくなるようなものではないかー!ううっ…ヨヴェティッチも本当にケガの多い選手だ。大選手になるためには、このケガ体質を何とかしなければいけない。代わりにピッチに入ってきたのはチェルチ。チェルチに関しては、後述。
…ヨヴェティッチがいなくなってしまい、母が気に入りそうな選手は、もうこの人しか残っていない。「…18番がね、モントリーヴォで、イタリア代表の選手だよ。昨年までキャプテンだったんだけど、フィオレンティーナを今年で退団することを表明してるので、ファンからの風当たりも強く、キャプテンを交代させられたんだよ。でも、今でも試合におけるリーダーシップは彼が執っているし、選手からの信頼は厚く、事実上のキャプテンだよ」。

後ろ姿だが、モントリーヴォ。
モントリーヴォは、シーズン初めは退団が決まっているせいか、イマイチやる気が見られなかったが、ここ最近は調子が上がってきて、チームを辞める割には、誠意をもって試合に取り組んでいるように見える。この試合でも、ヨヴェティッチが下がった後は、唯一、見せ場を作っていた。
モントリーヴォは、動きそのものが独特に柔らかくて、ピッチ上では目立つ選手なので、母はフムフム、と興味を持って見始めた。そして言った。「…18番は、顔もかわいいね」。そっかー、そうですね。モントリーヴォは、大天使ガブリエル似の、中性的でやさしい顔をしているので、イタリア女性にはあまり人気がないらしいが、日本女性には極めて受ける顔でありますね。というわけで、母は、モントリーヴォが、近くのサイドに来ると、顔をしっかり見ようと、試合に集中し始めた。ヨカッタ、ヨカッタ。
そして、試合は一方的にフィオレンティーナが押しているが、点は入らない、てな感じで前半終了。フィオレンティーナが強いというよりは、チェゼーナが元気がない、て感じですね。何ていうか私も、母につられてモントリーヴォばっかり見ていて、試合のことはほとんど覚えていない…。姉はというと、「モントリーヴォ、それからもしかしたらガンベリーニも、ヴィオラのユニフォームを見るのは最後かもしれないから」と言って、写真ばっかり撮ってる始末。それで、この試合は、いつもの観戦記に比べて、試合中の写真が多いわけですよ!
ハーフタイム中に、客席のフィオレンティーナファンが、熱くサッカー談義を始めるのは、いつものことながら微笑ましい。通路を横切っていく観客の中に、ユヴェントスのFW・イアクィンタにそっくりな人がいたので、「キンタそっくりー♪(イアクィンタは、日本のサッカーファンには「キンタ」という愛称で呼ばれている。そんなことイアクィンタは知る由もないだろう)」と、姉と笑いあった。
で、後半が開始し、試合をぼーっと見ていると(真剣に見なさい)、ふと、フィオレンティーナのディフェンダーのナターリに目が行った。ナターリって、プランデッリ・チルドレンの割には、プランデッリさんが去った後も、やる気抜かずに頑張ってるなー、エライなー。ナターリは190cmくらいある、長身選手である。そのナターリがマークしてる相手フォワードもおっきいなー…と思っていると、………どっかで見たことあるフォワードだな…。

…って、イアクィンタ!!!
さっき、イアクィンタそっくりのお客さんとすれ違ったのは偶然じゃなくて、「イアクィンタもピッチにいるんだから気付いてやれよ」っていう神のお告げだったわけですね!?よくよく考えれば、イアクィンタは、この冬ユーベから移籍したんだった。移籍先をちゃんと覚えてなかったんだけど、チェゼーナだったのだね。それにしても、イアクィンタ、ウディネーゼ→ユヴェントス→チェゼーナって、白黒以外のユニフォームは着ない、というダンコたる決意が見られる。次の移籍先は、間違いなくシエナだね。
後半16分、モントリーヴォが、ハーフライン付近から、ドリブルでスルスルと3人かわして、左のパスクアーレへとパス。ほとんどフリー状態のパスクアーレからのクロスに、アマウリが合わせて、フィオレンティーナ先制ー!ほとんどモントリーヴォの得点と言ってよい、モントリーヴォの素晴らしいプレーだったので、我々の前に座っていたイタリア人の女の子が、「モントリーヴォ!!!愛してるわー!!!」と大声で叫んだ。あら、モントリーヴォ、イタリアの女の子にもモテるじゃないの。よかったね!
フィオレンティーナのスタジアムは、フィオレンティーナに得点が入ると、場内アナウンスで選手名を連呼するのだが、このゴールには、その連呼がなかった。アマウリだからって名前呼んであげないのね、かわいそうに…と思っていたら、よくよくリプレイを見ると、相手のオウンゴールだった。なあーーんだ、オウンゴールかあ。オウンゴールって、何というか、日本語の「自殺点」の方が、よく状況を言い当てているネーミングだと思う。
後半からはヴァルガスが入ってきたのだが、こうやってモントリーヴォとフリーキックを取り合う場面があった。

結局モントリーヴォが蹴った(入らなかったけどね)。ヴァルガスの紫ユニフォームも今季までかなあ。
リーグ戦最下位のチェゼーナに、ホームでオウンゴールの1点しか取れないんじゃカッコ悪いなあと思っていたら、後半29分に、コーナーキックからのこぼれ球が、上がってきていたディフェンダー・ナスタシッチの前に落ちて、ナスタシッチが冷静に押し込んで、フィオレンティーナ2点目っ!

喜ぶフィオレンティーナの皆様。
ナスタシッチは若い選手なので、こういう選手にフィオレンティーナの未来はかかってくるんだなあ。チームは、主力がどんどん抜けて行って苦しい状況だが、ある意味若返りのチャンスと思ってがんばるしかないのだよ。このゴールに対し、母は、「お母さんはこの15番(ナスタシッチ)が動きがいいと、ずっと思ってたのよ」と自信たっぷりにのたまった。…あ、そうですか…。てっきりモントリーヴォの顔ばっかり見てたのかと思ってましたよ…。
さて、というわけで、フィオレンティーナは、この試合は珍しく勝てそうなのだが、その中で、母が大受けしたのが、ヨヴェティッチと交代で入ってきたチェルチ。そもそもチェルチは、ひとりよがり・チェルチってな感じで、オレがオレが、という感じではあるのだが、なかなか周りとかみ合わず、チャンスをつぶすプレーが多い。この日もそのようなプレーを繰り返していて、期待の星・ヨヴェティッチと交代で入ってきたこともあって、スタジアム全体からブーイングを浴びることも多かった。
チェルチは母にもしっかり要チェックされて、チェルチのプレーがチャンスをつぶすたびに、母に、「またあの7番(チェルチの背番号)…」と言われ、挙句の果てには、「何だかあの7番はおかしいよね」と言われる始末。それもそのはず、チェルチはなぜだかハーフパンツをめくりあげて、ブルマのような着方をしているのだ。

これがブルマチェルチ…。暑かったのだろうか…?
というわけで、チェルチがブルマ姿でも、2−0でフィオレンティーナの勝ーーー利っ!!!何と今季のフィオレンティーナはここまでわずか9勝ですからね!貴重な勝ち試合を見れたわけですよ、イエイっ!…それにしても、モントリーヴォの紫ユニフォームを、スタディオ・アルテミオ・フランキで見るのは、おそらくこれが最後だろう。良き思ひ出を、ありがとう、モントリーヴォ!ミラン(おそらく移籍先)ではがんばらなくていいけど、イタリア代表でがんばってくれ!
宿泊先のレジデンスに戻ると、さっそく、「FORZA!VIOLA」(=がんばれ、ヴィオラ)という名前の番組で、試合のハイライトをしていた。ヴィオラというのは、フィオレンティーナの愛称である。テレビのスタジオに、自称ヴィオラファンのゲストが集まり、あーでもない、こーでもない、と試合の反省、およびこれからのヴィオラについてただただ討論し続ける番組。

こちらが「FORZA!VIOLA」のスタジオ。
母がモントリーヴォの顔がはっきり映るかも、と期待していたのでずっと見ていたのだが、この「FORZA!VIOLA」、20:44〜21:30まで放送した挙句、3分ほどニュースを挟んで、21:34〜23:00まで続くという、信じられない長さの番組であることが判明した。…2、3時間もフィオレンティーナのことばかりを、討論し続けるわけですか…。しかも、試合がある日は必ず放送される番組なので、毎週こんなことしているわけですか…。何ていうか、日本サッカーがヨーロッパレベルに追いつけない理由が、このへんにある気がするし、しかも、追いつく必要は、全っ然ないような気もするよ…。
で、「FORZA!VIOLA」ばかり見ているわけにもいかないので、チャンネルを変えると、ちょうど夜に行われているセリエAの試合、「インテルVsカターニャ」の番組があった。
ここで、これは、「インテルVsカターニャの番組」であって、「インテルVsカターニャの生中継」ではないとことに注意して頂きたい。以前の旅行記にも書いたと思うが、イタリアではセリエAの試合中継は、衛星放送が牛耳っているので、地上波で見ることはできない。その代り、地上波では、「試合の生中継を見ている人たちの討論を生中継する」という番組が流されるのである。
それがコレ↓

左上に「インテルVsカターニャ」のスコアが出てますね。「INT0−1CAT」で、今0−1でインテルが負けていて、その横の数字、「1T36:51」は、前半の36分51秒であることを示しているわけですよ。画面が二つも出ているのは、わざわざ2つのスタジオをつないで、わいわい中継してるわけですね。
おおっと!カターニャに2点目が入ったようだ!

点が入ると、こういう、「ゴールが入ったぜ、わーい!」という、男4人組のウェーブが流される。下に、赤地に白で書かれている文字は、スポンサーのロゴ。
そして、得点シーンを視聴者に説明するために、大急ぎで、パネルにマグネットが用意される。

赤がカターニャの選手、青がインテルの選手、黄色はインテルのゴールキーパーでーす!

こんな感じの布陣から、

ゴールが入っちゃいましたー!いやー、このマグネットをせっせせっせと、手で動かしてゴールシーンを再現するわけですよ。地上波では生中継できないからって、ここまでやるわけですよ。
ちなみにこの失点シーンは長友に悪いプレーがあったのか、スタジオに来ているゲストの一人が、どこからわざわざ持ってきたのか、お箸を取り出して(日本っぽいものをと思ったんでしょうねえ)、そのお箸を振り回しながら長友の批判をしておりました…。いや、お箸は関係ないだろ…。
私と姉は、こんな番組には慣れっこだが、母は、ボー然としていた。ちなみに、この「インテルVsカターニャの番組」の裏で、ずっと熱く討論が続いていた「FORZA!VIOLA」は、次の日の朝、テレビをつけると、朝一番で再放送をしていた…。このサッカーに懸ける情熱を、イタリア人は、ほんの少しでいいから、他の何かに向けた方がいいようにも思えますね、ええ…。
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| <本日のイタリア旅行記メニュー> ●サンティッシマ・アンヌンツィアータ教会(再訪) ●旧サンタ・マリア・デリ・アンジェリ礼拝堂 ●サン・ジョヴァンニ洗礼堂(再訪) |
本日は日曜日のフィレンツェ。
日曜日のフィレンツェ中心街は、どこに行っても観光客でごった返している。特にドゥオーモ前の人口密度はスサマジイ。
では、日曜日のフィレンツェの上手な過ごし方とは。ぶっちゃけ、日曜は、イタリアサッカー・セリエAの試合が行われるので、スタジアムにサッカーを見に行っちゃうのが吉、なのである。というわけで、我々母娘は3人ともスポーツ観戦大好きなので、今日はサッカー観戦の日。ただ、試合は3時からなので、それまで、それほど観光客の多くない見どころを回ることにした。
母が一日中遊び回って疲れるといけないので、まずは母を置いて、姉と二人で町へ繰り出した。とりあえず、人ごみに近づかないためには、ドゥオーモ前と、ウッフィツィ美術館近くのシニョリーア広場を避けるべきであろう。というわけで、我々が白羽の矢を立てたのは、サンタ・マリア・マッダレーナ・デ・パッツィ修道院。
ラファエロのお師匠さんである、ペルジーノの絵が残る修道院で、昨年行ってみたのだが、閉まっていて入れなかったのだ。結構旧市街の外れの方にあるので、ココが混んでいるということは、まず無いだろう。で、トコトコ行ってみたのだが、まーた、閉まってた♪
どれどれ、張り紙がありますよ。

火曜日と木曜日の、午後2時半から5時半までしか入れない、てなわけですかー。カンタンに言えば、やる気ナイってことですね?まあ、無料だしな…。いいさ、いいさ。火曜か木曜に来りゃいいんだろ?出直すさ。
というわけで、この修道院からは、サンティッシマ・アンヌンツィアータ教会が近いので、そちらに入ることにした。何といってもサンティッシマ・アンヌンツィアータ教会は、フィレンツェでは貴重な、無料で入れる教会っ!おととしも入ったけどね、何回でも入りますよ!何回でもっ(無料だから)!
サンティッシマ・アンヌンツィアータ教会は、捨て子養育院美術館と同じ広場に面している。

外観はこんな感じで、なかなかステキである。
この教会は、地元の人たちが礼拝のために使っている教会で、フィレンツェの中では、観光色が薄い教会である。地元の人たちに大人気なのが、小さな礼拝堂に描かれた、「受胎告知」の絵である。この「受胎告知」に描かれたマリアが、天使が描いたものと言い伝えられていて、信仰を集めているのだ。

天使が描いたマリアは、入ってすぐ左の、この礼拝堂の中の奥に描かれている。

右側の、上を見ている女性がマリア。写真ではなかなか伝えきれないのが残念だが、素朴で優しげで、なかなかいい表情をしている。「受胎告知」は、西洋美術でよく描かれるモチーフだが、画家によって、マリアの描き方はさまざまである。処女懐妊を告げられて驚く、優美なマリアを描く人もいれば、厳粛な表情で天使のお告げを受け取る、マリアの強い決意を描く人もいる。この絵でのマリアは、数ある「受胎告知」のマリアの中でも、聖母の優美さと強さ、どちらも併せ持った、絶妙な表情で描かれている。天使が描いたというのも、何だか頷ける作品である。
この教会には、カスターニョが描いた、ちょっと目つきがヤバイ神様の絵がある、と、ちょっと前に読んだ本・フィレンツェ・ルネサンス55の至宝 (とんぼの本)に書いてあったので、探してみると、教会の左側の方に見つかった。

こちらが、カスターニョ作「三位一体」。上の老人が父なる神、鳩が精霊、そして神の子イエスの三位一体を表す図なのだが、そもそも構図が不思議である(神が何がしたいのかわからないし…)。肝心の神の目つきは、この写真では何と影になっていて、見えないっ!でも、確かに、ガン飛ばしてるような、だいぶ鋭い目つきであった。先述のフィレンツェ・ルネサンス55の至宝 (とんぼの本)によると、見る者を圧倒するような、冷徹な印象すら受ける「目力」が、フィレンツェ・ルネサンスの一つの特徴だそうな。
サンティッシマ・アンヌンツィアータ教会の、内部の全体像はこんな感じ。

朝日が差し込んで荘厳な感じ。本当に祈りのための空間、という感じで、雰囲気がよく、フィレンツェの中でも、私はお気に入りの教会である。この日は日曜の礼拝のためか、朝も早くから、観光客だけでなく、地元の人たちが集まってきていた。
サンティッシマ・アンヌンツィアータ教会を出た後、通称「ブルネルスキのロトンダ」と呼ばれる、旧サンタ・マリア・デリ・アンジェリ礼拝堂が地図で見ると近かったので、そちらに立ち寄ってみることにした。
昨年、ドゥオーモのクーポラに上って、フィレンツェの街並みを見た時、まるいプリンみたいなかわいい建物が見えて、私は勝手にそれを、「まるこ」と名付けた。

こちらが、昨年ドゥオーモのてっぺんから撮影した「まるこ」の写真。
この「まるこ」が、後日調べてみると、ブルネルスキが設計した、旧サンタ・マリア・デリ・アンジェリ礼拝堂であることがわかったのである。それで、今年はちょいと、この「まるこ」を近くで見てみようと思ったのである。
捨て子養育院の前の、かなりさびしい感じの通りを南下していくと、この「まるこ」が現れた。…まるこは、駐車場に囲まれて、すっごく生活感あふれてしまっていた…。まあ、大学の教室として、現在でも使われているらしいしねえ。それにしても、外壁も落書きばっかりで、こんなさびれた所に、我々以外に誰一人観光客もいないし、地元の人たちも、まるこに見向きもしないで通り過ぎていく…。それにしても、この落書きはヒドイ…。まるこは、完全にナメられているらしい…。
中に入れることもあるらしいので、ドアを押してみたが、開かなかった。しーん。ま、まるこ…。…何だか他にコメントすることもなくなったので、ドゥオーモ方面に向かって歩き出すことにした。
まるこを背にして、ドゥオーモ方面へ南下する途中でちらっと振り返ると、おー!まるこ!こっちのアングルから見るとかわいらしいじゃないの!

南側から見ると、まるこの比較的落書きの少ない方の外壁が見れるし、何だか木もあっていい感じ。それは木があるからいいのであって、まるこそのものの良さじゃないじゃんかよ!などと突っ込んではならない。周りの風景も巻き込む景観のことを、確か「借景」とか言うのですのよ(何かの受け売り)。
というわけで、まるこ…ええと正式名称は旧サンタ・マリア・デリ・アンジェリ礼拝堂を見に行く方は、ぜひ南側から見てあげてくださいっ!
さて、この後、母がサン・ジョヴァンニ洗礼堂に一緒に入場するために、レジデンスから出てきて、「天国の門」のレプリカ前で待ち合わせする予定だったのだが、我々が早めに用が済んでしまったため(断じてまるこの見どころが少なかったためではありませんよ、ええ)、レジデンスまで母を迎えに行くことにした。
レジデンスまでとことこ歩いている途中で、前方から、かなりちっぽい東洋人が歩いてきた。まあ、とどのつまり、母だった。やあ、母。迎えに来ちまったよ。というわけで、3人でとことこサン・ジョヴァンニ洗礼堂へと向かった。
サン・ジョヴァンニ洗礼堂は、日曜だと行列ができることも多いのだが、この日は、北側入口の切符売り場が混雑していなかった。へー、珍しいと思ってよく見てみると、切符売り場が、洗礼堂の入口ではなく、北側の入口から見て、通りを挟んで反対側の建物の、7番窓口に変わっているようだ。そちらで切符を購入して、洗礼堂の入り口で、自分でバーコードを機械にかざして、入場する仕組みになっていた。イマイチこのシステムがわかりづらいようで、洗礼堂の入り口でうろうろしている観光客も多かった。
サン・ジョヴァンニ洗礼堂は、私と姉は再訪である。2年ぶりっ!元気だったかい?洗礼堂の内部くんっ!?
このサン・ジョヴァンニ洗礼堂の見どころは、何といってもモザイクの天井!フィレンツェの中心街で、こんなに出来の良いモザイクを拝めるのは、おそらくこのサン・ジョヴァンニ洗礼堂だけではないだろうか。さて、このモザイクの天井画には、私の大好きな悪魔くんがいるのである。悪魔くん、久しぶり!

これが悪魔くん。
最後の審判にて、地獄に落とされた悪人たちを、せっせと食べるのが仕事である。それにしても、いつ見ても、悪魔くんは疲れ気味である。悪魔の仕事だって楽じゃない。悪魔くんの仕事を増やさないためにも、良い子に生きなきゃいけないですな。
サン・ジョヴァンニ洗礼堂のモザイクは、入り口から見て右側が最後の審判、左側が聖書のストーリーである。もう、一面にモザイクが広がっているので、じっくり鑑賞すると、本当に首が疲れる。左側の聖書のストーリーは、場面が変わるごとに、柱のモザイクで区切られていて、その柱が一本一本違うデザインなのがおもしろい。手抜きのないモザイク職人の仕事である。
最後の審判の図は、聖書のストーリーに比べて大きなモザイク画なので、下から見るには、こちらの方が見やすい。特に、中心にいるイエスは、むしろデカすぎる。もっと言っちゃえば、頭がデカすぎる(本当に)。
さて、最後の審判は、キリスト教美術のモチーフの中でも、特に私が好きな題材である。まず、最後の審判が始まる時、「審判始まるよー!」という合図として、天使がラッパを吹くのである。

これがラッパを吹いている天使。
その天使のラッパを目覚まし時計代わりにして、今まで地球上に生まれてきたすべての人間が、お墓から起こされる。その起こされ方が、ここのモザイク画はおもしろい。
こちらはいい人達バージョン。

善人たちは、天使に「朝が来ましたよ、起きてください」と、穏やかに起こされる。
こちらは悪い子バージョン。

悪人たちは、悪魔たちに、「オラッ!朝だ!さっさと起きろ!」と、文字通り叩き起こされるのである。だいたい、悪人が眠っている棺桶は、善人のに比べて、装飾もなく、だいぶみずぼらしい。
悪人たちは、そのまま悪魔大王の所へ連れて行かれ、悪魔くんに食べられてしまう(上の悪魔くんの画像参照して下さい)。それに対して、善人たちはどうなるかと言うと…

このように、聖人たちの膝に抱っこされているのである。…うーん、微妙っ?もう少し、こう、善人だったらこんなご褒美があるぜ!的なメッセージが欲しいところである。
ちなみに、最後の審判が来たことを告げるラッパを吹いている天使だが、母と姉が、あろうことか、顔が「志村けん」に似ている、と言い出した…。

…激似ってわけじゃないけど、そう言われると、志村けんにしか見えなくなる…。そんな目で見ると、ラッパで吹いてるメロディも、「ババンバ バン バン バン」としか思えなくなってくる…。いや、いいんですよ、笑いを司るんのは、少なくとも悪魔ではなく、天使の仕事ですよ!
というわけで、礼拝堂を出た後、昼食のパニーノを買って、いったんレジデンスに戻った。この後はサッカー観戦だが、また、ページを改めますっ!
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